日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.101
令和6(2024)年9月1日
(本メールマガジンは毎月1回1日に配信しています)
【本号の内容】
〔連載〕
1) 今月のチェックリスト
特別養護老人ホームにおけるICT・ロボット・AI活用の今後の展望
2) 時事/用語解説
認知症基本法の成立と福祉現場に求めること(1)
3) 会員のつぶやき
4)施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)取り組み紹介
〔お知らせ〕
○第34回「福祉QC」全国発表大会 事例発表・一般参加者募集中
○ブロックセミナー開催情報(中国・四国、関東甲信越静)
*本号本文は約3,300文字です。
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〔連載〕
1) 今月のチェックリスト
「特別養護老人ホームにおけるICT・ロボット・AI活用の今後の展望」
1. 人材不足問題の解消と業務効率化
・介護業務の負担軽減:見守りセンサーやAIによる行動分析を通じ、利用者の状態をリアルタイムで把握し、緊急事態への迅速な対応が可能となります。また、ロボットによる入浴介助や移動支援は、介護職員の身体的な負担を軽減し、よりきめ細やかなケアを提供するための時間を創出します。
・事務作業の効率化:介護記録システムの導入やAIによるデータ分析により、事務作業の自動化・効率化が実現し、職員はより利用者へのケアに集中できるようになります。
・離職率の低下:ICTツールの導入や働き方改革の推進により、職員の労働環境が改善され、モチベーション向上や離職率の低下が期待できます。
2. 新規サービスの創出と収益性の向上
・認知症ケアの高度化:AIによる認知症の早期発見や、ロボットを活用した認知症ケアプログラムの開発により、専門性の高いサービスを提供し、競争優位性を確立できます。
・地域包括ケアシステムへの貢献:地域住民向けの健康教室や運動プログラムをオンラインで提供することで、地域包括ケアシステムへの貢献度を高め、地域からの信頼を獲得できます。
3. 利用者満足度の向上と施設のブランド力強化
・個別化されたケア:AIによるデータ分析に基づいた個別化されたケアプランの作成により、利用者のニーズにきめ細かく対応し、満足度を高めることができます。
・娯楽性の向上:ロボットによるコミュニケーションやAIを活用した音楽療法等、娯楽性の高いサービスを提供することで、利用者の生活を豊かにします。
・透明性の高い情報提供:ウェブサイトやアプリを通じ、施設のサービス内容や利用者の様子をリアルタイムで情報共有することで、家族への安心感を与え、施設の信頼性を高めます。
<まとめ>
ICT・ロボット・AI(以下、ICT等)の活用は、特別養護老人ホームの経営において人材不足問題の解消、新規サービスの創出、利用者満足度の向上等、多岐にわたる課題解決に貢献する可能性を秘めています。ただし、これらの技術導入には、初期投資や職員の教育等、様々な課題も存在します。経営者はそのような課題を克服し、ICT等を効果的に活用することで、より良い介護サービスを提供し、持続可能な施設運営を実現していく必要があります。
今後の展望としては、以下の点が挙げられます。
・人材育成:ICT等を活用するための専門知識やスキルを備えた人材の育成が不可欠です。
・データの利活用:収集されたデータを効果的に分析し新たなサービスや施策に繋げるため、データ利活用能力の強化が求められます。
・ICTリテラシーの向上:プライバシー保護や情報セキュリティ等、倫理的な側面にも十分配慮したシステム構築が重要です。
・地域との連携:地域の医療機関や介護事業者との連携を強化し、より包括的なケアを提供できる体制を構築することが求められます。
結論として、ICT等は特別養護老人ホームの未来を大きく変える可能性を秘めた技術です。経営者はこれらの技術を積極的に導入し、人材育成やデータ利活用等必要な取り組みを進めることで、より良い介護サービスを提供し、持続可能な施設運営を実現していく必要があります。
(広島県 社会福祉法人IGL学園福祉会 特別養護老人ホームナーシングホームゆうゆう 施設長 永見 悠騎(No.5997))
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2) 時事/用語解説
「認知症基本法の成立と福祉現場に求めること(1)」
「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」は昨年6月に成立し、本年1月1日に施行されている。基本法案が2019年6月に衆議院に提出され、4年かけてようやく成立したものである。
現在、わが国の人口の約5%が認知症とされているが、「認知症になったら困る」というこれまでの認知症観が残っており、周囲のサポートを受け、その人らしく地域で共生できる状態ではない。福祉現場でも、認知症の介護は離職の原因の1つと言われている。認知症への理解をより一層深め合い、人としてのコミュニケーションの範囲を広げ、人権が守られる社会をめざして先頭に立つという決意を持ち、実践しようではないか。
認知症の患者数は2025年に700万人に達すると言われている。お互いの人権を尊重しての関わりを切に求めたいものである。人権を持つ者の1人として、対応を心から願って止まない。
(次号へ続く)
(広報委員 新潟県 大澤 澄男(No.1030))
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3) 会員のつぶやき
今年の4月早々、マスコミに取り上げられた記事で「新卒者から、就職したものの入職前の話と異なるので退職したいが、自ら手続きをしたくないので退職代行を依頼したい」との報道に触れ、愕然としました。その後、都内の複数の法人の会合で確認したところ、1法人から、入職2日目に退職代行会社から連絡があったとのことです。いよいよ社会福祉業界にもこのような新卒者が出現したことにショックを受けたとともに、今後、受け入れる側も齟齬が生じないように、新卒者に寄り添いながらの対応を求められていることを強く感じています。
(東京都 淑徳短期大学名誉教授 田村 惠一(No.1029))
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4) 施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)取り組み紹介
本会の「施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)」を使用しての感想をご紹介します。
46期生の田村嘉朗と申します。障害者支援施設神明苑の施設長をしています。全国から集まった同期生たちと共に学んだ後、私自身は、実践のポイントの範疇に該当するかどうかはともかくとして、講座での教えや知識を十分に活用できていたのかどうかも同時にチェックすることとしました。私自身の自己評価基準によるので、厳しすぎないか、逆に甘すぎないか悩みましたが、悩みながらも組織全体をじっくり見直す機会となる一方、組織の力量や私自身の力量の足りなさも感じました。
総合診断結果を見ると、我々は「2.社会への姿勢」「3.地域への姿勢」が全体の中では弱いとの結果でした。関わっているつもりでも、もう一つ先のステップに届かないような感じです。他の項目を検証しても、不足している点がどこにあるのかがわかりました。
このチェック表が「施設長のための業務」の最低基準であるとすれば、事業を継続させさらに向上していくために、「荷重く道遠し」だと思いながらも、福祉施設サービス管理、品質マネジメントに係る葉山の先生方のご教示を思い出しながら、前向きに将来の人材と共に精進しようと思っております。
(埼玉県 社会福祉法人埼葛福祉会 障害者支援施設神明苑 施設長 田村 嘉朗(No.6075))
〔参考〕施設長のための業務チェックリストはこちら
https://x.gd/OmLP5
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〔お知らせ〕※詳しくはホームページの各URL参照
○第34回「福祉QC」全国発表大会(令和6年12月2日) 事例発表・一般参加者募集中
ホームページ https://x.gd/3i7Z8
○ブロックセミナー開催情報
・中国・四国ブロックセミナー(令和6年10月9日〜 10日)
ホームページ https://x.gd/qZY64
・関東甲信越静ブロックセミナー(令和6年10月24日〜 25日)
ホームページ https://x.gd/OYmDV
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