日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.98
令和6(2024)年6月1日
(本メールマガジンは毎月1回1日に配信しています)
【本号の内容】
〔連載〕
1) 今月のチェックリスト
施設長がチェックすべき決算のポイント
2) 時事/用語解説
介護・障害報酬改定(1)
3) 会員のつぶやき
4)施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)取り組み紹介
〔お知らせ〕
令和6年度第1回オンライン情報交換会開催のご案内
*本号本文は約3,300文字です。
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〔連載〕
1) 今月のチェックリスト
□施設長がチェックすべき決算のポイント
■チェックポイント(1)
多くの法人では、経理の担当職員が経理仕訳をして当月締めた試算表を翌月の〇日までに理事長へ報告するという経理規程になっています。したがって施設長が会計に触れることは日常的にありませんし、細かいことまで把握するのは難しいことだと思います。
ここでは、6月というタイミングで決算期ということもあるので、施設長にチェックしていただきたいポイントをピックアップします。
a)貸借対照表の流動資産から流動負債(1年以内返済予定○○、引当金等を除く)を引いた額が資金収支計算書の当期末支払資金残高と一致しているか?
b)貸借対照表の純資産の部の次期繰越活動増減差額と事業活動計算書の次期繰越活動増減差額が同額となっているか?
この2点が一致していないとそもそも自法人の決算書は正しくありません。必ずチェックをするようにしてください。
■チェックポイント(2)
チェックポイント(1)では計算書類の正確性をチェックしましたが、次に行うべきポイントは人件費比率の把握です。事業活動収支計算書の人件費をサービス活動収益計で割って算出します。また、福祉医療機構が社会福祉法人の現況報告書等を集約し31の経営指標(2023年度版)として公表したデータによると、人件費比率の全国平均値は66.7%となっているため、大きな差異がないか確認します。
■チェックポイント(3)
最後にサービス活動収支を確認します。事業活動計算書のサービス活動収益計とサービス活動費用計の差額がマイナスになっていないかを確認します。ここでマイナスとなっていると、本業での利益を確保できない状態となっているため注意が必要です。
社会福祉法人は社会福祉のために発展していかなければなりません。そのためにはしっかりと利益を確保し、将来のための投資を積極的に行いましょう。また、経営を多角化し本業である社会福祉事業を支えていくという視点も重要で、これからは収益事業等を検討することも必要であると考えます。私たちは利益を追求してはならない法人ですが、利益を出してはいけない法人ではないのです。
(社会福祉法人心友会 中根 慶太 (No.5537))
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2) 時事/用語解説
「介護・障害報酬改定(1)」
少子高齢化、人口減少、社会経済状況、介護・障害・医療ニーズの増大と変化等から、介護・障害報酬改定をふまえ、これからの全世代型社会保障の構築が求められている。
保険給付費の増大は、国、地方公共団体の公費負担の増大や保険料負担の増大にもつながるという厳しい状況もある。
福祉医療機構のレポートによると、令和4(2022)年度は社会福祉法人の3分の1以上が赤字で、分野別では介護が46%と半数に近く、障害が36%、保育が26%となっている。内訳を見ると人件費は67%、経費は0.6%上昇し25%であるという。物価高騰の影響も大きい。そのような状況のなかで、新たな介護・障害・医療のニーズへの対応が求められている。
令和6(2024)年度介護報酬改定は、人口構造や社会経済状況の変化をふまえ、(1)〜(4)を基本的な視点として実施される。
(1)地域包括ケアシステムの深化・推進
a 質の高い公正中立なケアマネジメント
b 地域の実情に応じた柔軟かつ効率的な取組
c 医療と介護の連携の推進
d 看取りへの対応強化
e 感染症や災害への対応力向上
f 高齢者虐待防止の推進
h 認知症の対応力向上
i 福祉用具貸与・特定用具販売の見直し
(2)自立支援・重度化防止に向けた対応
(3)良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
(4)制度の安定性・持続可能性の確保
年齢にかかわらず、能力に応じて全世代で支え合うための社会保障制度を構築していくために、地域包括ケアシステムの推進と「地域共生社会」の実現との接合が求められている。
社会福祉法人には地域を支える公益的役割があり、地域の代表的な立場で地域全体を束ねる担い手としての役割が期待されている。
地域の格差が拡大するなか、社会福祉法人には、地域における役割や機能を事業計画に盛り込んでいくことが求められている。
(広報委員 新潟県 大澤 澄男(No.1030))
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3) 会員のつぶやき
「親(上司)を見て、子(部下)は育つ」は時代錯誤です。令和の時代においては、死語といわれてしまいます。そもそも、親と過ごす時間が少なくなってきている今日において、たとえ一緒に過ごしていたとしても、端末の画面と向き合っている時間を考慮すると、なお少ないでしょう。職場においても同じです。「上司を見て部下は育つ」は時代錯誤になってきています。ひと昔前は、先輩や上司から「仕事は見て学び、盗んで実践する」「自分から聞く」「すべて自分の為」等言われてきました。私たちは、その言葉を何も疑わずに取り組んできました。ですから、「私達の時代はね」と発言してしまいそうになりますが、だめですね。
コミュニケーション能力の向上と、分かりやすいマニュアル作成、そして次なる指導者を育て、事業所が100年先も継続される。これこそ、今後の私の課題だと考えております。
(栃木県 辻元 るみ子 (No.5693)
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4) 施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)取り組み紹介
本会の「施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)」を使用しての感想をご紹介します。
施設長のための業務チェックリストを実践してみました。このチェックリストは非常に役立つものであり、私の仕事を効果的に管理するための重要な道具となりました。
まず、このチェックリストは私の業務の全体像を正確に把握する上で大変役立ちました。リストには主要な業務項目と具体的なタスクが明記されており、これを参考にすることで何を優先すべきかが明確になりました。これにより、時間の使い方が効率化され、生産性が向上しました。
さらに、チェックリストを使うことで、業務の詳細な確認や追加の手順に簡単にアクセスできるようになり必要に応じてこれを見ることで、失敗やミスを予防できます。
全体を通して、チェックリストの使用は私の業務遂行を大幅に効率化し、品質を向上させることができました。これにより、組織全体の業務の円滑さや効率性にも寄与することができると確信しました。
この施設長のための業務チェックリストも積極的に活用し、より効果的な業務遂行を目指していきます。
(長野県 社会福祉法人小諸青葉福祉会 理事長 佐藤 正雄(No. 3343))
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〔お知らせ〕
令和6年度第1回オンライン情報交換会開催のご案内
会員及び会員在籍施設職員がテーマに沿って情報交換し、解決策や工夫点等を共有することを目的とし、下記のとおりオンライン情報交換会を開催しますので、ぜひご参加ください。
なお、第2回は本年10月以降(年度後半)に開催する予定です。
・日時 令和6年7月23日(火)14:00〜15:00(1時間)
・方法 Zoomミーティング
・進め方 テーマを「SNSの活用」と「働きやすい職場づくり(さらに小テーマの設定あり)」から選択し、グループに分かれて情報交換を行います。
・対象 本会会員及び会員在籍施設職員(定員30名)
・進行 本会生涯研修委員会メンバー
・参加費 無料
・申込 下記フォーム(Google)に7月9日(火)までにご登録ください。
https://forms.gle/xbtiFakKnvfnN8jd6
・その他 申込いただいた方に、当日のURL等を事前にメールいたします。
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◇メールマガジンバックナンバーは以下に掲載しています。
http://sv6.mgzn.jp/pub/mailList.php?cid=S604763
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┏次回は7月1日発行予定
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