日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.97
令和6(2024)年5月1日
(本メールマガジンは毎月1回1日に配信しています)
【本号の内容】
〔連載〕
1) 今月のチェックリスト
「福祉施設士会」という「職能団体」の優位性を認識していますか?
2) 時事/用語解説
保育所・認定こども園・幼稚園の教育、福祉の統合と連携
3) 会員のつぶやき
4)施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)取り組み紹介
〔お知らせ〕
第45回全国福祉施設士セミナー(9月12日〜13日)開催のご案内
*本号本文は約3,500文字です。
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〔連載〕
1) 今月のチェックリスト
□「福祉施設士会」という「職能団体」の優位性を認識していますか?
■職能団体という言葉/農協という代表的職能団体の変遷
「職能団体」という言葉をご存知でしょうか。例えば農業協同組合(以下、農協)では、古くから「地域団体」か「職能団体」かという議論が続いておりました。農協の前身の組織は産業組合法(1900年)による産業組合であり、地域的信用を基にした富める農家を中心とした経営の強化を図るため信用事業(現JAバンク)を中心としてきた歴史がありました。しかし、時代の経過を経て、兼業農家の増加により単に農家としての性格だけではなくなったことと、生活の水準が向上する中で、購買事業(経済事業)としての組合員に対する安く良い資材の提供が重要視されていくなかで職能団体としての側面が強まってきた、という歴史があります。現在では政治・経済に深く影響を与える組織として活動されています。
■福祉施設長の質の向上に向けた「座談会」の効用
前述の協同組合は、日本協同組合連携機構によると「共通のニーズや願いを持った人同士が自発的に集まって、事業を通してそれを実現する組織」であると定義されていますが、日本福祉施設士会の目標は「施設運営(経営)上必要な知識を体系的に学ぶことで運営(経営)管理に欠かせない専門的な知識を習得し、福祉施設長の質向上を図ること」(福祉施設士行動原則〜6つの姿勢と12の行動〜)としております。上記に資するため、東京都福祉施設士会では、役員会や研修会ごとに、共に学び合うため、類型を超えた「座談会」を開催し力を入れていく方針としています。ある当会理事は、会における雑談から派生したアドバイスを基に施設設計に変化をもたらし、経営効率性を向上させました。職種を横断した雑談は非常に重要ですが、最も重要なのは「目標が統一された雑談(福祉施設長の質向上)」であると考えています。
■類型横断的な情報取得による「経営的盲点」の解消へ
先日私が参加した規制改革に関する学会では、介護福祉に関する労働力不足について議論がありました。学会では、通常はテーマが決まっておりますが、多様な方々の発表や議論を黙って聞いているだけでも、不思議なもので「こんなアイデアもある」という思いつきに変化していく場合もあります。人間には、自身の専門外のことには無意識になり、興味が湧かないという独自の機能がありますが、類型横断的な情報取得により、気づかないことによる盲点、いわば経営的な盲点を解消することができます。各都道府県福祉施設士会の皆様は、肩肘を適度に張らずに職員の方や講師をお連れいただいて、あるいは自身が講師となって、ぜひ、交流会や雑談等に参加していただくと、ご自身の経営者としての質向上にとどまらず、職員の方々の質向上にもつながるのではないでしょうか。
〈参考文献等〉
・農協の体質改善共同研究の会 編「農協の体質改善(くみあい運動叢書)」(協同組合通信社、1960年)
(国立国会図書館サーチ) https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001011585
・JAグループホームページ-JA(農業協同組合)とは
https://life.ja-group.jp/message/about/
・日本福祉施設士会ホームページ
http://www.dswi-sisetusi.gr.jp/
(昭和女子大学研究員 中川 尋史 (No.5940))
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2) 時事/用語解説
「保育所・認定こども園・幼稚園の教育、福祉の統合と連携」
文部科学省は「今後の幼児教育課程、指導、評価等の在り方に関する有識者検討会(座長:無藤隆 氏(白梅学園大学名誉教授))を本年1月25日に開き、今夏をめどに検討内容を取りまとめると発表している。幼稚園、認定こども園、保育所の要領および指針は、種別ごとに幼稚園教育要領、認定こども園教育・保育要領、保育所保育指針と分かれているが、教育活動の実施状況、成果、課題を検討するという。また、着実に実施するための「必要な条件整備」も論点とすることとしている。本検討会の運事務局はこども家庭庁の協力を得て文部科学省初等中等教育局幼児教育課が担当している。幼児教育課では、幼児教育の要領・指針は文部科学省とこども家庭庁が協議して改訂すると説明している。
こども施策の一元化所管をめざす当初の自由民主党の提言では、文部科学省の幼児教育課はこども家庭庁に統合するとしていたが、幼児教育課は現在も文部科学省に残っていて、同課から検討会が提案され、教育は文部科学省の専管事項であると主張し続けている。政府は、こども家庭庁の「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」を令和3年12月21日に閣議決定し「こども基本法」もスタートしている。教育はゆずれない専管事項という文部科学省の主張は理解できる。しかし、教育関係者、社会福祉関係者、地域住民、地方自治体等の多様な主体が、共に地域共生社会をめざす時に来ているということを理解し、関係機関と協議・連携し、スウェーデン、デンマークなどの教育状況にも学び、人間教育、民主主義教育の幼児期からの指導、学校のコミュニティスクール化、児童、家庭福祉・文化の実践などの改革に取り組むべきではないか。
学校の校外生活指導係はスク―ルカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、家庭福祉との協働など近接多職種、学童保育などとの連携なしにはやっていけないところに来ていることを皆で考え、協働していくことが必要ではないか。わが日本福祉施設士会も幼児・児童福祉分野の会員を中心に本格的かつ実践的に取り組み、健全育成に向けた事業展開に力を入れるべき時ではないかと思うところである。
(広報委員 新潟県 大澤 澄男(No.1030))
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3) 会員のつぶやき
本年3月、4年の歳月をかけて大学院修士課程を修了しました。本来2年でさっさと修了できるはずのところを、仕事もあるからと、マイペースで行くつもりで長期履修にしました。修了までだらだらと4年かかりましたが、蓋を開けてみると、コロナ禍にもかかわらず国立大学の教員とのパイプが育まれ、公認心理師国家資格にもチャレンジできました。また、卒業のタイミングと同時に、短大の非常勤講師の話まで舞い込みました。「雨降って地固まる。何が正解か、人の縁や人生の流れなど、わからないものだ」と思いました。
(広島県 松林 克典(No. 4402))
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4) 施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)取り組み紹介
本会の「施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)」を使用しての感想をご紹介します。
昨年3月に「福祉施設長専門講座」を修了した後に、当時の施設長より「施設長のための業務チェックリスト(実践のポイント)」を使ってみるように言われ、チェックを行いましたが、その時点では副施設長という立場であったため、施設長をしっかりサポートできるように頑張ろうと思っただけでした。
想定外なことに、本年4月から施設長として働くことになり、改めて自分自身のこととしてチェックしてみました。
人材の確保・育成・定着が最重要課題である中で、「4.職員への姿勢」「6.自己への姿勢」の取り組みをしっかり意識し研鑽に励み、組織幹部とともに施設の本来の目的が達成できるよう努めていきたいと思います。
(群馬県 特別養護老人ホーム永光荘 施設長 藤井 功一(No.6115))
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〔お知らせ〕
第45回全国福祉施設士セミナー(9月12日〜13日)開催のご案内
本年度の全国福祉施設士セミナーが、9月12日(木)〜13日(金)に和歌山県にて開催されますので、ぜひご参加ください。
開催概要・申込方法は本会ホームページをご参照ください。
http://www.dswi-sisetusi.gr.jp/
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