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配信日:2023/12/01
日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.92
日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.92

令和5(2023)年12月1日
(本メールマガジンは毎月1回1日に配信しています)

【もくじ】
1) 今月のチェックリスト
:機能訓練指導員の役割とは?
2) 時事/用語解説
 :利用者に分かりにくい外来用語が多すぎる。そのいくつかを学んでみよう
3) 会員リレーコラム
 :少しずつ戻りつつある日常
  
*本号本文は約2,800文字です。

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1) 今月のチェックリスト

 「機能訓練指導員の役割とは?」

□機能訓練指導員の職域は?
特別養護老人ホームにおけるリハビリは、機能訓練指導員によって実施されて
います。老人保健施設のリハビリテーション専門職種によるリハビリとは異なり、
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護職員・柔道整復師またはあんま
マッサージ指圧師などの資格を有する者が行う機能訓練とされています。
ここで言われる「リハビリテーション」と「機能訓練」と何が違うのか。
この辺はグレーゾーンと考えられます。
求められる専門性または必要な専門性とは何か。時代の流れで変革していくもの
と考えられます。

□嚥下を科学し誤嚥を防ぐ
特別養護老人ホームにおける機能訓練とは、廃用症候群の予防・進行防止、起居・
立位・移乗・歩行などの生活動作・ポジショニングや褥瘡予防・口腔嚥下対応など
の個別機能訓練、集団体操やレクリエーション、多職種との連携など多岐にわたります。
私は理学療法士ですが、どうしても身体機能・能力面に目が行ってしまい、
口腔ケアや嚥下機能が疎かになりがちです。数年前から嚥下機能のスキルアップに
時間を費やすことにしました。嚥下機能は口腔内〜頸部内で起こっており、顎関節
から舌機能、嚥下メカニズム・反射など身体機能やアライメントに影響を受けやすい
ことが解りました。臥床時のポジショニング、座位姿勢などのアライメント修正により
嚥下機能は改善する場合があり、逆に疎かにすると悪化する場合もあります。
また食事形態も重要であり、栄養状態の悪化は褥瘡発生の要因にもなります。
多職種連携の重要性も再認識しました。今後は排泄に関するスキル、つまり排尿機能障害
や膀胱直腸障害に対する機能訓練などもリサーチしたいと思います。

□介護にも医療のエビデンスを!!
特別養護老人ホームにおける機能訓練は、医療のエビデンスを積極的に用いより科学的な
視点でスキルを構築していくことが重要ではないかと考えています。
 2013(平成25)年に総合リハビリテーション療法士が提唱され、「作業療法的な手法を
理学療法士が全く知らなくていいわけではないし、言語聴覚士が居なければ嚥下訓練は
一切しなくていいということではない。慢性期も急性期も含め、総合的な知識と技能を
持った療法士がこれから必要になる」と述べられています。既に10年が経過していますが、
今更ながら必要性を痛感する次第です。

(執筆:広報委員 福井県 田中淳 No. 5394)

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2) 時事/用語解説

 「利用者に分かりにくい外来用語が多すぎる。そのいくつかを学んでみよう」

2024(令和6)年より、介護事業所に本格的に義務化されることに関係する専門用語と
そのメリットおよび注意しなければならないことを整理しよう。十分理解し実践できる
用語を使いたい。
 1)「BCP」 Business Continuity Planning
災害や感染症など緊急事態発生の際に企業が事業を継続していくための計画。
介護事業のBCPは2024年から本格的に義務化されるので、それまでに策定する必要がある。
事業の復旧と継続をスムーズに行うために、方針・体制・手順など具体的な計画を立てて
おく必要がある。BCPを策定するメリットは(1)人命と事業を守れる、(2)多くのリスク
回避につながる、(3)補助金がもらえる(自治体による)、などである。
 2)「ICT」Information and Communication Technology
 情報通信技術のこと。情報技術を活用しながら人とインターネット、人と人とがつながる
技術。その特徴等は、(1)利用者と直接接しない業務の時間が減った。直接ケアできる時間
が増える、(2)単純ミスが減った。サービス提供記録、業務日誌などが入力できる。端末を
通じて省力化することで介護や観察の力がおろそかにならないことの注意や対人関係の力が
いいかげんにならないことを心がけたい、(3)ケアの質が向上した。書式の統一、利用者の
行動分析に使うようにしたい、(4)事業所内の情報共有がスムーズになった、(5)介護記録
が充実した。音声入力等が手軽にできる。画一化、人と人との関りが軽くならない注意も必要、
(6)ケアプランが充実した。利用者の状態の変化が記録からよく分かり、ケアプランの充実、
内容の高度化が可能。あわせて観察や記録の研修、ケアプラン実践の学習も必要、(7)書類
の保管場所が削減できた。ファイリング、書棚保管からペーパーレスにすすめる、(8)情報
漏洩を防止しやすくなる、(9)職場のコミュニケーションが増えて雰囲気がよくなった。
Webミーティング機能を使う、チームカンファレンス、多職種協働のメリットがある。
 パソコンばかり見ていないで、「私達との直接的ふれあいも大切にしてよ」との声にも
耳を傾けたい。

(執筆:広報委員 新潟県 大澤 澄男(No.1030))

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3) 会員リレーコラム

「少しずつ戻りつつある日常」

特別養護老人ホーム博仁会桜荘は、2019(令和元)年10月12日の東日本台風にて被災し、
日々復旧作業に追われている最中にコロナ禍に入り、入所者の家族を年3回施設内に招く行事と、
毎月実施していた入所者が職員と共に外出する企画を中止することになりました。
これらの行事は入所者が楽しみにしていたものなので、職員としても非常に辛い思いでした。
あれから早三年半が経ち、2023(令和5)年4月からようやく外出企画を再開することになり
ました。中止している間に職員の入れ替わりもあり、外出企画を実施する段取りを知っている
職員が少なくなってしまったことと、日々忙しい業務に加えて更に業務が加わる大変さもあり、
再開には苦労しましたが、この行事を行うことで「入所者の喜び」、「職員のやりがい」という
成果を改めて実感することができました。ただ、何よりも行事が少しずつ再開していくことで、
施設としての日常が戻ってきていることを嬉しく思います。
まだ行事の完全な再開には至っていませんが、我慢をされている入所者やご家族の皆様には
感謝の思いしかありません。次の課題は、家族を交えての行事を再開することです。

(執筆:長野県 竹内 勇貴さん(No.6019))

→次回は 京都府 中川 晶勝さん(No.6051)の予定です。

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