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配信日:2023/06/01
日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.86
日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.86
令和5(2023)年6月1日
(本メールマガジンは毎月1回1日に配信しています)

【もくじ】
1) 今月のチェックリスト
:日々是好日「相手の立場に立って」を合言葉に!!
2) 時事/用語解説
 :改正精神保健福祉法のポイント(2)
3) 会員リレーコラム
 :最近嬉しかったこと
4) お知らせ
 :令和5年度施設長実学講座の開催(7月19日、オンライン)

*本号本文は約4,440文字です。

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1) 今月のチェックリスト

 「日々是好日「相手の立場に立って」を合言葉に!!」

【チェックリスト】
 □楽しい職場づくりとは
 □若い人も老いていく人も過去によって支配される
 □リーダーに「自己認識力」がないとチームが狂う

【解説】
・新型コロナは、5月5日にWHOの「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言が終了し、5月8日から季節性インフルエンザなどと同等の「5類」に位置付けられました。3年余り続いたコロナ禍の大きな転換点を感じるとともに、最近、頻発する地震 (5月5日から5月19日時点:震度4から震度6が13回目)からも福祉施設の強靭な組織運営について考えさせられます。
・我々福祉に携わる者として、今後施設運営のために「心がけ」なければならない留意点(高齢者・障害者・児童施設分野共通の人間関係)を振り返って考える機会をもち、改めて「人を思いやる人間関係」のベースである「相手の立場に立って」「ご利用者様はじめ職員の皆様」からなる「喜ばれる・生きがいのある組織づくりについて」振り返って考えることをお薦めしたいと思います。

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□楽しい職場づくりとは
・一人ひとりが自分らしく過ごしてこそ、相手の立場を尊重できます。組織内の運営の目標に「今日も自分らしく過ごせたかどうか」を掲げたら、どんなにか素晴らしいでしょう。
・ところが、コロナ禍を経験して、利用者さんにしても従業員さんにしても孤独感から忍び寄る「感情の摩擦の軋轢」「意見の対立」又は「生きていくための無力感」「思い込みの自分」「あきらめ」「寂しさ」等々、様々な「自分の姿」があり、これらの人との関係に「気づき」が必要になってきます。
・「職場を楽しく」するために、「本当の自分に気づくこと(自分自身が好き)」「自分が好きなように他者を好きになること」「職場グループ全員が共同体感覚を共有すること」などが必要です。職場や家庭、人生が生きがいのあるものとなるでしょう。

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□若い人も老いていく人も過去によって支配される
・現実の自分を振り返ってみた時、自分は過去の出来事によって支配されていることに気づきます。両親から生まれたのだから、感情やそれに伴う自分の本当の姿は代々同性質に引き継がれていくようです。
・自分の姿をプラス人生にしていくには、一人ひとりが内観し、たとえマイナスな「思い込み」があったとしてもプラスに変化させていけるような思考方法を身に着ける必要があります。
・現実のプラスイメージを持つためには、「自分の未来の姿は、どうあればいい?」というように目標設定からバックキャストしてみることもある意味で必要になりますが、職場が要求するような、貢献することが生きがいとなれるような取組みに意識的態度で臨める組織体制であることが望まれます。共同体意識をイメージし、1年後も2年後も継続していきたいものです。
・このような所属の組織体制を自分の意識で感じていくと、「自己認識力」が高まり、「これが自分だ」と自信が持てるように継続する「自分軸」ができるようになってきます。時代の流れに流されるのではなく、積極的かつ主体的に勇気をもって活躍していける組織・自分になりたいものです。

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□リーダーに「自己認識力」がないとチームが狂う
・どんな人も、心のリセットがないと過去の感情を引きずります。「現実が楽しそうかどうか」はその人の心と体のマッチングにあり、それぞれのメンバー間での「自分軸の見える化」と自分も相手もこの「自分軸」が根底に内在することが必要になります。これが人間関係をスムーズに運び、組織の絆を強固にしていく流れになるかと思います。
・リーダーに求められる自己認識力については、ビジョン優先型・価値観優先型のいずれかを問わず、部下に対して「鏡のような行動」となっていけるように望みます。「仕事を楽しむ」ためには、まず自分の内面からの充実感、リーダーが率先してこの取組みをテーマとすることです。
・自分の行動が組織全体を引かせたり、引き寄せたりするものですが、自分という「自分軸」を持ちながら自分を成長させる。これが組織の成長にとって重要なことです。
・繰り返しますが、日常の中から身に着けておく「必要で十分な条件」の考え方と「自分軸」を提案してみたいと思いました。日々是好日「相手の立場に立って」の合言葉に、熟考しながらPDCAの実現を願っています。

(執筆:広報委員 秋田県 村上 耕治(No.1730))

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2) 時事/用語解説

  「改正精神保健福祉法のポイント(2)」

 改正精神保健福祉法に関して、精神保健福祉法改正案の見直しを求める会長声明(2022年11月9日、日本弁護士連合会 第210回国会(10月26日提出))のポイントを紹介する。

◎強制入院制度の廃止及び廃止に向けたロードマップ(基本計画)を作成・実行することを求めてきた。
◎2022年8月、国連・障害者権利委員会による日本審査が実施され9月の総括所見で、不当な法的規定を廃止する勧告をし、全てのケースを見直し、無期限の入院を廃止、インフームド・コンセントの確保及び地域社会で必要な支援を受けて地域で自立した生活を促進することを日本政府に要請(42項(b))。
◎国は勧告を踏まえ、医療保護入院を含む強制入院制度の廃止を求められているが、改正案では医療保護入院では期間を設定したものの更新を繰り返すことを可能とし無期限の入院を許容していることは廃止への抜本的改革に沿うものとは到底言い難い。家族の同意要件を残し、同意表示を行わない場合は市町村長同意により医療保護入院を可能とするもので、適用範囲を拡大している。抜本的改革に逆行すると言わざるをえない。
◎喫緊の要請であった障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)と同趣旨の虐待の定義及び精神科病院内での虐待事案に関する通報義務が明記された。しかし、虐待対応スキームについては、障害者虐待防止法と異なり、身近な市町村が第一次通報先とされず、通報先が都道府県に限定されており、通報促進や初期対応の観点から不十分である。また、通報受理後の対応は都道府県職員等の責務で実施すべきで弁護士等専門職の適切な関与と助言等により行政による迅速な虐待対応の実効性を確保すべきである。
◎当連合会は医療保護入院の実質的温存及び医療保護入院の適用の範囲拡大並びに不十分な虐待対応スキームの導入についての見直しを求めるものである。合わせて、国連・障害者権利委員会が総括所見で示した強制入院制度の廃止を視野に入れた精神保健福祉制度の抜本的見直しに向け、当事者・当事者団体はもとより、人権擁護の担い手である弁護士会を含めた議論を開始するよう求めるとしている。

 精神保健福祉法改正案に関する見解(2022年11月2日、日本精神保健福祉士協会会長田村 綾子)では、障害者権利条約による日本政府への総括所見、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会を受け、精神障害者の権利擁護体制の充実を図り社会的復権を一歩でも前進させるために協会は今国会での成立を望むとして、以下の提言をまとめている。
(1)法律の目的に「精神障害者の権利擁護」が加わったことについて
 精神保健福祉法に「障害者の権利の擁護」が目的として加えられるのに70年を超える年月を要した。精神医療及び精神障害者福祉のみを特別視せざるを得なかった歴史に終止符が打たれた。
(2)医療保護入院の見直しについて
 精神保健指定医1名の診断と家族等のうち1名の同意のみを要件とする非自発的入院制度であり、本協会は廃止を求めるものである。
(3)「入院者訪問支援事業」の創設について
 新たな地域精神保健医療体制の構築に向けた検討チームが2012年に取りまとめて、10年の検討を重ねて法定化した。任意事業からスタートしたが、近い将来、都道府県等の必須事業に位置付けられ、利用を希望するすべての入院患者に提供されることを目指したい。
(4)精神科病院における虐待防止に向けた取組の一層の推進について
 虐待の防止措置と通報義務が課せられることになる。虐待状況等の毎年度公表が大きな抑制力になることが期待される。
(5)医療の主体的な選択を支援するために
 当事者が自身の健康回復や増進のために主体的に選択し利用できる法制度のあり方を追求しなくてはならない、などである。
 
 わが日本福祉施設士会会員の、利用者の虐待防止に向けた実践の参考としていただきたい。
 
(執筆:広報委員 新潟県 大澤澄男(No.1030))

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3) 会員リレーコラム

 「最近嬉しかったこと」

 当法人では、長年にわたり“お客様に満足を”と“仕事に喜びを”をテーマに全職員でカイゼン活動に取り組んでいます。目的は“福祉サービスの質の向上”と“人材育成や法人・施設等の発展”のためです。この度、大変嬉しいことに、5月25日に札幌で行われた日科技連主催の『QCサークル全国大会』にて、『QCサークル石川馨賞』を受賞しました。この賞は“他のサークルの模範となる優れた活動を進め、QCサークル活動の水準向上に貢献したサークル”に贈られるもので、これらの評価は、全職員の喜びであり、ご指導いただいた皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。
 “どうすれば、カイゼン活動が、長い間継続できるの?”と言う質問をよくいただきます。当法人職員には、好奇心・向上心に溢れ、使命感と誇りを持って働く職員が大勢いるから継続できるのだ、と私は思っています。これからも、これらの素晴らしい職員とともに、お客様の満足と職員の喜びを更に大きくできるよう努力していきたいと思います。

(執筆:福島県 藤本 マチ子さん(No.4632))

→次回は 東京都 中川 尋史さん(No.5940)の予定です。

4) お知らせ

 「令和5年度施設長実学講座の開催(7月19日、オンライン)」

 令和5年7月19日にオンラインにて、施設長実学講座「決算書を読み解く(前期/基礎編)」を開催します。会計実務の未経験者を対象にしています。
 詳しくは、本会ホームページ、http://www.dswi-sisetusi.gr.jp/をご参照ください

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┏次回は7月1日発行予定
発 行:全国社会福祉協議会
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