日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.85
令和5(2023)年5月1日
(本メールマガジンは毎月1回1日に配信しています)
【もくじ】
1) 今月のチェックリスト
:コロナ禍の夜明け、感染対策について
2) 時事/用語解説
:改正精神保健福祉法のポイント(1)
3) 会員リレーコラム
:福祉施設士行動原則行動9地域の福祉課題に積極的に取り組む−
地域貢献活動Cafe ぴのそーれと会議室(地域交流スペース)の地域開放−
4) お知らせ
:福祉施設長専門講座第45・46期修了者の方々との意見交換会
を開催します(5月30日、於:全社協)
*本号本文は約4,300文字です。
▼―――――――――
1) 今月のチェックリスト
コロナ禍の夜明け、感染対策について
2020年1月14日、神奈川県内の医療機関から管轄の保健所に対して、
中華人民共和国湖北省武漢市の滞在歴がある肺炎の患者(神奈川県内在住
の30代男性)が報告され、検査の結果、翌15日に新型コロナウイルス陽性
が判明しました。1月3日発症、10日に入院して15日には軽快退院しました
が、本事例が国内1例目の患者です(厚生労働省広報)。それ以降、未知の
ウイルスとして恐れられ、爆発的な感染拡大の波が8度訪れて、これまでの
累積患者数は33,469,149人、累積死亡者数は73,953人(4月2日NHKまとめ)
となっています。死亡者数は近似値と思われますが、患者数は途中から全数
把握ができなくなったことや無症候性感染者のカウントができていないため、
その数は膨らむものと考えられます。世界中を震撼させた新型コロナウイルス
パンデミック(感染爆発)もようやく落ち着きを取り戻しつつあります。
日本でも2023年5月8日を境に感染症法上の扱いを2類(結核や新型インフル
エンザ等)相当から5類(季節性インフルエンザ並)へとランクが下げられます。
政府は今冬に向けて段階的にすべての医療機関でコロナ患者が受診できる医療
体制を構築することを目標としています。実に3年超の長きにわたる制限づくし
の生活が少しずつ以前の様子に戻ってきています。
しかし、コロナ禍は感染弱者の生活を支える私たち福祉施設の安全管理、特に
感染対策の考え方をこれまで以上に厳しく捉えるよう誘ったと考えます。例え
季節性インフルエンザと同等の扱いになっても、「施設入館時の手洗いやうが
い・検温等」は継続され、「業務内のマスクの着用」についてもしばらくは続
けることになるでしょう。入所者への面会も新しい生活様式を考慮して、「面
会者の健康」や「濃厚接触の状況」、「面会簿記録の厳格化」に加えて「面会
時の換気」や「面会人数の制限」、「大声での会話や飲食を控える」ことなど
が継続して求められるでしょう。また、エッセンシャルワーカーとして職員自
身の体調管理は元より、発熱や咳・咽頭痛・鼻汁などの『風邪症状を呈した就
業を制限』することは当然の管理となると考えられます。これまでは、多少の
発熱や風邪程度で休むことを躊躇していた人たちも施設の感染弱者を守るため
の義務と捉えることが必須となってきました。このような『風邪の有症状者就
業制限』の考え方は、例え新型コロナウイルスの罹患ではなくとも施設内の風
邪の蔓延を阻止するためにも必要なことです。昔から“風邪は万病の元”と言わ
れ、これまでにも職員や外来者が持ち込んだ風邪が施設内に蔓延し、それをこ
じらせて肺炎等の全身状態の悪化に繋がる方もたくさんいました。
今後、コロナウイルスに対する有効で安価な治療薬の普及やワクチン効果の向
上に伴って、徐々に感染症に対する意識が薄れていくことが容易に想像できます。
新しい生活様式下での施設管理では、一般的な風邪でさえも施設内に持ち込ま
ないことが最も基本で大切な感染対策だと考えます。
したがって、
□感染症の防止策や発生時の対応についてマニュアルを定め、職員、利用者及
び家族等に周知すること
□感染症の知識について、職員、利用者及び家族等に対し学習の機会を設けること
□感染症の防止や発生等に備え、医療機関との連携を図ること
□設備・用具の衛生状態について、定期的に確認を行うこと
これら4つのポイントをしっかり押さえて施設運営を行っていくことが重要になります。
(執筆:広島県 松林克典(No.4402))
▼―――――――――
2) 時事/用語解説
改正精神保健福祉法のポイント(1)
令和4年12月10日、精神保健福祉法の一部改正法案が国会で可決・成立した。
改正は医療保護入院制度の見直し、入院者訪問支援事業の創設、精神科病院に
おける虐待の通報義務である。
まず精神保健福祉法の基本を確認することから始める。(1)精神障害者の
医療および保護を行うこと、(2)障害者総合支援法とともに精神障害者の社
会復帰の促進、自立と社会経済活動への参加のための必要な援助を行うこと、
(3)精神障害の発生予防や国民の精神的健康の保持および増進に努めること、
(4)精神障害者の福祉増進および国民の精神保健の向上を図ることが基本である。
◎わが国の制定の経緯
明治初期までは法的規制はない。
明治8年、てん狂院の名で精神病院がはじめて設置される。
明治33年、「精神病者監護法」の施行。配偶者、親族に監護義務。
大正8年、精神病院法の制定。公的病院設置。病床数不十分。
昭和39年、ライシャワー事件。
昭和40年、通院医療費公費負担制度スタート。
昭和62年、人権に配慮した適正医療および保護確保と社会復帰促進のため任意
入院制度の創設、医療審査会の創設。「精神衛生法」を「精神保健法」に変更改正。
平成5年、障害者基本法成立。
平成11年、精神障害者地域生活支援センター、ホームヘルプサービス、ショート
ステイの開始。福祉サービスの法定化実現。
平成16年、精神保健医療福祉の改革ビジョンのとりまとめ。入院医療中心から地域医療中心へ。
平成17年、障害者自立支援法成立。3障害の一元化。
平成26年、「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討
会」の開催。関係者がめざすべき方向性を定める。
それ以後も時流に沿った改正が続けられている。
◎改正精神保健福祉法の主な内容
1)対象 精神障害者の範囲は、「統合失調症、精神作用物質による急性中毒
またはその依存症、知的障害、その他の精神疾患を有するもの(第5条)
2)精神保健福祉センター 都道府県に設置義務(第6条)
3)地方精神保健福祉審議会を都道府県に置くことができる(第9条)また
精神医療審査会を都道府県に置く(第9条、第12条)
4)精神保健指定医を厚生労働大臣が指定(第18条)。措置入院や医療保護入院の要否、
行動制限等の判断を行う(第19条の4)
5)精神科病院 都道府県に設置義務(第19条の7)
6)医療および保護 入院形態は、任意入院(第21条)。精神保健指定医の診察、
自傷、他傷のおそれがあると認めた場合の入院(第29条)。医療保護入院、
医療および保護のための入院が必要と家族等の同意による入院(第33条)
7)精神科病院における処遇等について請求があった場合、都道府県知事は精神
医療審査会に審査を求めなければならない(第38条の3)
8)精神障害者保健福祉手帳 都道府県知事は申請により手帳交付をしなければ
ならない(第45条)
9)相談指導等 都道府県および市町村は知識の普及のための広報啓発活動を通じ、
地域住民の関心と理解を深めるよう努めなければならない(第46条)。
精神保健福祉相談員を置くことができる(第48条)
次号に続く
(執筆:新潟県 大澤澄男(No.1030))
▼―――――――――
3) 会員リレーコラム
福祉施設士行動原則行動9地域の福祉課題に積極的に取り組む
−地域貢献活動Caféぴのそーれと会議室(地域交流スペース)の地域開放−
宮城県 松川 弘さん(No.3476)
特別養護老人ホーム松陽苑は1984年4月に50床で開苑し、2021年6月にJR名取駅
から400メートルの地に鉄筋コンクリート造4階建て混合型100床で移転改築いたしました。
建築設計段階において、法人地元評議員の方から「地域に集まる場所があまりないので、
検討して下さい」との意見がありましたので、役員会で審議し、「地域貢献活動
Cafe ぴのそーれと会議室(地域交流スペース)」として建物に合築しました。
地域交流スペースは次のとおり提供しており、コロナ禍により想定した稼働には至って
おりませんが、少しずつ地域に浸透しつつあり、より多くの地域の皆様に活用されること
を期待しています。
1)地元民生委員・児童委員やこども食堂の皆様の会議の場として
2)認知症高齢者家族等交流会の会場として
3)カフェデザート納品業者主宰のマルシエの会場として
コロナ終息後は、
4)ご家族とご利用者面会の際の会場として提供予定
5)地域カラオケサークル等への会場として提供予定
6)子ども食堂開催会場として提供予定
→次回は 福島県 藤本 マチ子さん(No.4632)の予定です。
4) お知らせ
福祉施設長専門講座第45・46期修了者の方々との意見交換会を開催します
(5月30日、於:全社協)
第45期・第46期の福祉施設長専門講座を修了した方々を対象に、
福祉施設長として、福祉現場における日々の実践や直面している課題等について
率直に意見交換や情報共有を行い、また、福祉施設士会メンバーからのアドバイス
等を通じた継続した学びの場として、以下により意見交換会を開催いたします。
日本福祉施設士会の活動に積極的に参画するきっかけをつくっていただき、また、
修了者の方々の日々の実践や直面している課題への対応策を、本会の事業・活動に
反映させていくことを目的としています。
会員の皆様におかれましては、所属している法人・施設に対象となる第45期・
第46期修了者がいらっしゃる場合、あるいは対象となる方々をご存じの場合は、
ぜひお気軽にご参加いただきますよう、積極的なお声かけをお願いいたします。
◆日時・プログラム:令和5年5月30日(火)
13:00〜13:45 開会あいさつ
・日本福祉施設士会 会長 藤田久雄
13:45〜15:45 意見交換
・専門講座の振り返り
・今後のキャリア形成、めざす施設長像
・直面している課題とその対応策
・継続的な学びの場として日本福祉施設会に期待すること
16:00〜17:30 懇親会
◆会場:全社協会議室
◆定員:60名
◆参加費:無料
◆参加対象:第45期・第46期 福祉施設長専門講座修了者
※詳細は下記ご参照ください。
http://www.dswi-sisetusi.gr.jp/ pdf/202304_info.pdf
…―‥―・―――――
◇メールマガジンバックナンバーは以下に掲載しています。
http://sv6.mgzn.jp/pub/mailList.php?cid=S604763
◇お近くの会員でアドレス未登録の方がいれば、
登録を呼びかけてくださいますようご協力をお願いします。
登録・解除・アドレス変更は以下から手続きできます。
http://www.dswi-sisetusi.gr.jp/meruhaikun/index.html
┏次回は6月1日発行予定
発 行:全国社会福祉協議会
日本福祉施設士会広報委員会
http://www.dswi-sisetusi.gr.jp/
連絡先:z-sisetusi@shakyo.or.jp
〒100-8980 東京都千代田区霞が関3-3-2
電話03-3581-7819
Fax 03-3581-7928
┗━DSWI
|