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配信日:2023/04/01
日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.84
日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.84
令和5(2023)年4月1日
(本メールマガジンは毎月1回1日に配信しています)

【もくじ】
1) 今月のチェックリスト
 :福祉QC活動のススメ
2) 時事/用語解説
 :こども家庭庁のスタートとコミュニティ・スクール
3) 会員リレーコラム
 :改めておもう「人との繋がり」の大切さ

*本号本文は約3,400文字です。

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1) 今月のチェックリスト
 福祉QC活動のススメ

□フラットになれるサークル活動
□現状把握で感覚的を科学的に分析
□事業運営への責任と改善の評価

【解説】
 「品質管理」を表す「QC」とは、英語の「Quality Control」の頭文字をとって
略した言葉であると、広く知られています。1950年からアメリカ人の統計学者
ウイリアム・エドワーズ・デミング氏による品質管理の考え方や統計的手法が、
1952年、日本の品質管理の父石川馨氏(1915−1989年)によって伝えられ、
更に日本独自の改良が加えられ、QCサークル活動が始まりました。
 日本の製造業における品質の高さは、このような改善活動による効率の向上や
安全性の確保、品質不具合、所謂不良品の生産防止によるものが大きいと考えられます。
 これらの営利企業の生産業で培われた、「QC活動」の手法を非営利企業の福祉
の分野に取り入れた「福祉QC」は、なかなか困難なことが多く、それゆえに試行
錯誤し、数値化して改善状況を見える化できた時の喜びは、私たちの使命が何であ
るかを確信できる瞬間でもあると思えるのです。
 世の中が、働き方を改革し、出社せずリモートで仕事ができるようになっても、
そうできないことが多い福祉の仕事に携わる奇特な皆さんに、疎まれることが多い
「QC活動」をおススメする点について書いてみます。

□ フラットになれるサークル活動
 時間が経過すると職場の中で、上司、同僚、部下の割合が変化してくるのは、
当然のことです。○○課長とか役が付くと、同期であっても上司や部下になったり
します。少し前に、忖度という言葉が話題になりましたが、上席になると孤独感
を感じることは、少なくないのではないでしょうか。
 そんな時にお勧めしたいのが、「QC活動」です。サークルのメンバーは、
「QC活動」において、互いの多様性を認め、多方向からの意見に必ず傾聴する
のがルールですから、いつもの偉そうな気配を消すことができれば、フラットな
関係でメンバーと意見を交わすのは、解放された心地よい感覚をもつことができ
るでしょう。

□ 現状把握で感覚的を科学的に分析
 テーマを選定したら、様々な角度から必要な現状を調査します。
私が従事しているのは、障がい者施設ですが、ケース会議等で、障がい特性によ
る阻害行動の発生を「いつも」とか「繰り返し」等と表現することが多くあります。
そんな時にお勧めしたいのが、「QC活動」です。「現状をしっかり見る」という
「現状把握」では、抽象的な表現をある一定期間調査して、発生回数を把握すると、
「いつも」が2週間で3回だったとか、「繰り返し」が毎日ではないことがわかり、
しょっちゅう支援しているという感覚的な支援に関わる負担感が、具体的な数字に
よって軽減されることがあるかもしれません。

□ 事業運営への責任と改善の評価
 多くの職員は、事業所の経営や運営に対して、どこか他人事のような感覚を持っ
ていないでしょうか。経営は理事長や施設長、運営は役職員の考えや判断のトップ
ダウンによって成り立っていると思い込んでいて、給与や就業規則の改定にすら関
心を示さなくなってしまうことが日常になってしまう。
 そんな時にお勧めしたいのが、「QC活動」です。何をどれくらい改善するかの
目標に対して、問題や課題となる事象の原因を導くことで、改善の結果が得られる
としたら、ボトムアップによる提案が、少ない人材や資金の中でも組織や体制を
もっと機能的に変えることができるかもしれません。
 そして、その改善の効果が一過性にならぬように継続するための評価をすること
が職員の責任であり、「QC活動」の成果であると考えます。

 さて、これまでの3項目は、私が平成元年から続けてきた「QC活動」の経験から、
感じたことです。専門家の方の知識やご意見とは少しずれているかもしれません。
 しかし、法人全社的に「福祉QC活動」に取り組む「TQM活動」となっても、
QCと聞くだけで、疎まれ、嫌がられ、無視されることが多いこの活動を私自身が
続けるための考え方なのですから、どうぞお許しください。

(執筆:長崎県 原口由紀子(No.4893))

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2) 時事/用語解説
 こども家庭庁のスタートとコミュニティ・スクール

 この4月から子ども政策の司令塔である「こども家庭庁」がスタートする。合わ
せてこども基本法が施行され、「こどもまんなか」としてこども家庭庁で政策を一
元化し、厚生労働省子ども家庭局、内閣府の子ども・子育て本部などを内閣府の外
局とし担当大臣も置き、少子化対策や増え続ける児童虐待などに対応する。そのな
かで社会福祉法人は地域の社会資源として、また、保育所、児童養護施設、乳児院
などの児童福祉施設やそのサービス事業は伴走型で支える役割としての期待が大き
くなっている。2023年度は関連予算に「こどもの視点に立った司令塔機能の発揮、
こども基本法の着実な施行」、「結婚・妊娠・出産・子育てに夢や希望を感じられ
る社会の実現、少子化の克服」、「全てのこどもに、健やかで安全・安心に成長で
きる環境を提供する」、「成育環境にかかわらず誰一人取り残すことなく健やかな
成長を保障する」を主要事項として、約4.8兆円が盛り込まれている。
 一方で、スウェーデン等北欧の日常幼児教育から始まる民主主義教育をモデルと
してもっと学ぶことが求められていないか。文部科学省は「改正教育基本法」第13
条による学校、家庭、地域社会の連携・協力の明記によってコミュニティ・スクー
ル導入、学校と地域の教育の充実と地域の活性化をめざし地域学校協働本部の整備
を進めている。デンマークモデルの学校理事会に近づいたのかなと思っている。今、
ここに問題とすべきは、(1)国連の「子ども権利条約」の基本とされる児童、生徒の
参加が認められていないこと。(2)中央からの細部までの指示・指導が強すぎてコ
ミュニティ・スクールとしての地域性が発揮できにくいこと。中央集権から地方主
権の推進が進まなければ、「形は整って、本質と中身が伴わない形骸化」がまたこ
こでも進むだろう。文部科学省もこの辺で少しがんばってほしいと思っている。

(執筆:新潟県 大澤澄男(No.1030))

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3) 会員リレーコラム
 改めておもう「人との繋がり」の大切さ

  埼玉県 川田 功二さん(No.3490)

若い時はがむしゃらに仕事をし、自分1人が大変なんだとよく思っていましたが、
年齢を重ねていくうちに人との繋がりがあって成し遂げられる大切さを実感して
おります。コロナ禍であったこの3年間は、人と会って話す機会もなくなり、
よけいにそう思えるようになったのかもしれません。
 現場を経験し28歳で施設長となり今日に至ります。これまでも多くの方と関わ
り支えあい共有することで、色々こなしてこれたのだと思います。それを改めて
感じています。
 特に職場内でのスタッフとの関わりは大切で、立場が近くなる人ほど密に連携
するよう心がけてます。そうすることで、時には大変であったり嫌な話しもあっ
たりしますが、互いの長所や意見を交わし進む楽しさも感じられています。
 職場内の雰囲気がよくなれば、働きやすい環境にも繋がり、当然ながら利用者
の方々に対しても良い雰囲気が伝わるものと思います。
 当たり前のようなことを書きましたが、今だからこそ改めて思えているこの頃
の気持ちです。
これからの5年、10年、さらに人との繋がり、関わりを大切にしていきたいです。

→次回は 宮城県 松川 弘さん(No.3476)の予定です。

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