日本福祉施設士会【DSWI】メールマガジン No.77
2022.9.1
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もくじ
1) 今月のチェックリスト
:コロナ禍での保育園の対応
2) 時事/用語解説
:地域共生社会をめざし、「孤独・孤立」への福祉施設士会の対応推進
3) 会員リレーコラム
:子どもの中で仕事をしてホッとする瞬間
4) 研修会のご案内
:令和4年度福祉ビジョン21世紀セミナー
*本号本文は約4,640文字です。
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1) 今月のチェックリスト
「コロナ禍での保育園の対応」
□感染対応に関する文書を見直し、次の対応を準備していますか。
□感染対応について職員と話し合いをしていますか。
【解説】
新型コロナウイルスが国内に侵入して3年目になります。当初は2〜3年も経てば普通
の風邪になっていくだろうなどという観測もありましたが、今年度になって感染者が爆
発的に拡大し子どもたちの生活や園の運営に対する影響はさらに増している感があります。
そこで本園から保護者の皆さんにお配りした感染対応に関する文書を、この機会に振
り返って見ることにしました。
○令和2年3月9日「新型コロナウイルス感染症予防について(お願い)」
本園から発した最初の文書。本園から保護者に連絡する発熱基準を38℃から37.5℃に
下げる旨通知。その他日常生活における留意点など知らせる。
○令和2年4月17日「新型コロナウイルス感染防止策について(お知らせとお願い)」
市長が全保育園保護者に対して発した登園自粛要請に添付した本園独自文書。岩国市
立保育園の対応方針を市役所こども支援課が私立園にも伝達してくださったことに対応
して、本園独自の方針も付記したお知らせ。園児・職員に感染者が出た場合2週間の休園
を行うこと、登園前に37.5℃以下であることを登園の条件とすることなどを市内統一方針
として伝達。
○令和2年5月19日「新型コロナウイルス感染防止策について(お知らせとお願い)」
国の山口県に対する緊急事態宣言が解除され、それにあわせて市長の登園自粛要請も
解除されたことに伴う本園の文書。園の入口にアルコールを設置することや私生活全般に
わたり外出を控えることなどを含め伝達。
○令和2年6月26日「新型コロナウイルス感染防止策について(お知らせとお願い)」
都道府県をまたぐ移動制限が解除されたことに伴う文書。発熱基準を38℃に戻す、
プール・水遊びは例年通り行う、夏祭り(盆踊り)は昼間に園児と職員だけで実施、
年長組お泊まり保育は実施、卒園生合宿は中止、熱中症予防を心がける、等などを通知。
○令和2年7月28日
市長から市民へのメッセージに添付して、岩国市保育協会が得た情報を保護者に伝達。
市長が公共施設の閉鎖や休校・休園などは行わないことを宣言。
○令和2年11月18日「休園・登園自粛等を行う基準について」
保護者からの問い合わせが増加したことに対応して、本園の判断基準を決定し公開。園児
やその家族が濃厚接触者になった場合の対処方法等も伝達。
○令和4年1月9日「まん延防止等重点措置適用と登園自粛要請」
令和3年暮れ頃からそれまで都会と比べてさほど感染者が多くはなかった岩国市内で突如
感染が拡大。これはアメリカ国内での感染防止策が次第に緩和され、それに伴ってアメリカ
本国や世界の諸地域からアメリカ海兵隊岩国基地に移動する際の検査が撤廃されたことによ
るのではないかとも言われたが、その他の要因もあった。その後アメリカ軍も方針を改め日
本の基地に移動する軍人の検査を義務づけ。ともかく岩国市内にまん延防止重点措置が国に
よって適用されるに至り、保育所保護者に対しても市長から登園自粛要請が約1か月にわた
り発せられ、この時、自粛明けのメールでの通知に注意事項や要望事項を保護者に伝達。発
熱基準を37.5℃に再変更。
○令和4年4月9日「玖珂保育園参観日中止」
本園では毎年4月の早い時期の土曜日に保育参観を行い、あわせて保護者どうしの顔合わせ
や園長からの保育方針・お願い事の伝達を行っている。今年度は感染拡大防止のため三歳未
満児と三歳以上児に分け、時間差をもうけて実施するように計画し保護者に伝達。ところが
参観日2日前になって本園園児や職員にも陽性者や濃厚接触者が出て、急遽参観日を中止。参
観日は午前中に終わる予定であったため給食食材の発注が間に合わないなどの理由で、結局
当日の保育ができなかった。
国や厚労省は今年に入ったあたりから従来の方針を大きく変更し、保育所は極力クラス閉
鎖や休園はしないよう、する場合は保健所や市の担当課とよく相談して判断を仰ぐように通
達。今回の参観日中止とそれに伴い保育ができない状態に陥った件は完全にこの通達に反し
ており、翌週になってそのことに気づいて担当課に丁寧に経緯を説明した文書などを提出し
て事後承諾を求めた。担当課が極めて好意的に対応してくださったので、事なきを得た。
一連の出来事の中で幾度もメールや文書で保護者に連絡をしたが、その中で感染防止の留
意点なども知らせる。
○令和4年4月28日「職員の皆様へ」
園児の家族が濃厚接触者になった場合や濃厚接触者ではないが保健所などの依頼で検査対
象者になった場合の登園の可否や制限期間などを改めて職員に伝達。保護者からの問い合わ
せにも対応できることをめざした。
○令和4年8月17日「新たなお願い」
園児が最初に感染しその後家族に広がった場合、園児の行動制限が真っ先に解除され家族
は行動制限がかかっている方ばかりといった例が見られるようになったため、そういった際
の登園基準を保護者に連絡。
本園でも二度の休園と複数回のクラス閉鎖、登園自粛要請(これは現在でも園長の判断の
みで行える)を経験してきましたが、登園できないことに関する苦情はほとんどありません。
初期には濃厚接触者の認定について抗議をされたことが幾度かありましたが(濃厚接触者に
認定してほしいという要望がなぜか多い)現在ではほとんど見られなくなりました。
今後感染がさらに拡大するのか収束するのかは全く分からないですが、どのような事態に
なっても職員とよく話し合いその時その時の最適解を見つけていきたいと思っています。
(執筆:山口県 桂信一(No.3425))
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2) 時事/用語解説
「地域共生社会をめざし、「孤独・孤立」への福祉施設士会の対応推進」
従来から問題とされながら、コロナ禍も重なり、社会的なつながり、「つながり続ける」が共
生社会実現のため大切になっている。
「孤独・孤立」は家庭、職場、地域などの生活基盤が不安定となり、人や社会、関わる体験
や機会が弱くなっていること、つまり孤独・孤立を生み出しやすい現代社会そのものが問われ
ていることから出発しなければならない。
発展途上国の将来を背負って立つ人材がやって来ている留学生のうち、帰国にあたって「日
本の経済発展に大いに学んでいきたいが、合わせて失ったものが多すぎるのは問題だと思って
いる」と知日派であっても親日派とはならないで帰る学生を数多く見聞してきたことを思い出
す。郡山女子大学創立者の関口富左学長は「個の確立と他との協調」、「自然に学び新たな学
を」を言われ、「欧米先進国に比べ個人の確立の遅れを取り戻そうと急ぐあまり「周囲つまり
他との協調が不十分のままになってしまっている」と言われていたことも思い出す。誰もが社
会の一員として、家族の一員として生きる基盤がおびやかされ、他者や社会との安定したつな
がりを失って孤独や孤立を強いられる状況が問題である。
孤独・孤立にはひとり暮らし、高齢者、育児不安の母親、ヤングケアラー、不登校児童、就職
困難期でひきこもった人、希死願望の人、など年代や性別、場所、おかれている状況など多様で
ある。孤独・孤立に陥りやすい人ほど地域福祉活動の利用には至りにくい。配慮が求められる。
そこから、包括的総合相談窓口、出前相談のアウトリーチ、つながり続ける支援、地域の団体、
機関との連帯や協働、当時者研究と個別ケアプラン、対象者によりそう伴走型支援などが求めら
れている。
生活困窮者自立支援法(平成25(2013)年12月制定、平成30(2018)年改正)、第2条の基
本理念では、「自立支援は、生活困窮者の尊厳の保持を図りつつ、就労の状況、心身の状況、
地域社会からの孤立の状況、その他の状況に応じて、包括的かつ早期に行わなければならない」
とし、地域における福祉、就労、教育、住宅などの関係機関、民間団体との緊密な連携その他
必要な支援体制の整備に配慮して行うことを規定している。
第3条では、「生活困窮者」とは、「就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性、その他
の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのあ
る者をいう」としている。
第8条では、この事業の「利用勧奨等」、第9条では「支援会議」を組織することにふれている。
この業務を実際の現場で業務するケアワーカーは日常生活の自立支援員であり、孤独・孤立の
支援は、単に生活保護が必要となりそうな人々の支援により生活保護受給者を増やさない財政政
策に止まらず、全般的で基本的な福祉対策として、わが日本福祉施設士会は強い関心と実践的対
応を心がけていかなければならない。
(執筆:新潟県 大澤澄男(No.1030))
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3) 会員リレーコラム
「子どもの中で仕事をしてホッとする瞬間」
東京都 阿部幸恵さん(No.4715)
「所長先生に見てほしいって子ども達が言うんです」
と4歳児担当の職員が私を呼びに来た。4歳児のクラスに向かうと、
部屋からホールに向けてカプラ(積み木)で作った2本のライン(壁!)。カプラの壁とカプラの
壁の幅は30センチ程、長さ5、6メートルの道路が完成していた。
「凄いでしょ」「車は走るんだよ」「長いでしょ」「壊さないでね」「恰好いいでしょ」と。
2本のカプラの壁の間をレゴブロックの自動車や飛行機? 乗り物? 固まりが次々と通っていく、
うまい具合にカプラの壁を壊すことなく楽しそうに走らせる・・・。
担任は順番ね、と注意を促す。
次の瞬間「あっ壊れた」(落胆の声)一部カプラの壁崩壊 「なんで壊すの」(大きな怒りの声)
「ねーえー」壊れたカプラをそっと直す子、手伝う子「ぼく○○ちゃんの次ね」「うん、いいよ」
ブロック人形を載せた車が通り、新幹線が通っていく。
そこはもう何もなかったかの様に遊びが続き笑いと歓声 「所長先生また見に来てね!」
→次回は 千葉県 田尻隆さん(No.4692)の予定です。
4) 研修会のご案内
「令和4年度福祉ビジョン21世紀セミナー」
全国社会福祉協議会では、令和4年10月12日(水)に全社協灘尾ホールにて、複雑・多様化する
社会に応える〜社会福祉法人・社会福祉協議会は生き残れるのか〜 をテーマに「福祉ビジョン
21世紀セミナー」を開催いたします。詳しくは、https://www.shakyo.or.jp/seminar/index.htmlに
掲載している「開催要項」をご覧ください。
日本福祉施設士会でもセミナーや実学講座など様々な研修会を開催しています。
ホームページ http://www.dswi-sisetusi.gr.jp/
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