7月号:7月14日発売
定価720円(送料78円)
江戸時代の本屋の実情を知る格好の史料が残されている。寛永期から続く伝統ある京都の書林・風月庄左衛門が書いた明和九年九月(1772)から一年三ヶ月ほどの日記『日暦』である。そこから見えてくるのは、江戸時代の本屋は現代の出版社のように間断なく新本を出し続けるのとは違い、古本・唐本など広範な品物を商品として扱っていたことである。むしろ大きく収益にかかわっていたのは古本部門だった。
この日記は図書館学者の弥吉光長氏が元若村春和堂店主で収集家の若林正治氏の所持していた原本をもとに「日本古書通信」(通巻525〜533、昭和48年)で翻刻して紹介したのがはじめである。後に同氏の『未刊史料による日本出版文化1』や『江戸時代の出版と人』(ゆまに書房、昭和63年)などに再録されている。生の史料としての本屋の日記は非常に少ないので、この記録は本屋の日常的な活動ぶりがわかって興味深い。この原本は現在行方不明とのことだが、ご存知の方がおれたら情報をお寄せいただきたい。
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―続きは7月号でどうぞ―
【主要目次】
和本の管理―江戸の本屋に学ぶ (橋口侯之介)
『正訳源氏物語 本文対照』の完結にあたって (中野幸一)
嵯峨本『方丈記』のこと(下) (森上 修)
島崎藤村と『処女地』 (大木志門)
本卦還りの本と卦123 本のセリ (出久根達郎)
古本屋散策184 岩崎徹太と岩崎書店 (小田光雄)
大東亜学術協会の雑誌『学海』 (樽見 博)
その他
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